第2話 日本刀との出会い

執筆者 : 柴田 信保
 ご要望の多かった刀剣にまつわる自慢話、四方山話を会員の皆さんから集め、連載させていただきます。 今回の『第二話』は当会会員、柴田さんにお願いしました。 今後も順次会員の方々の自慢話を連載する予定です。

 世の中に「カッコイイモノ」「強いもの」いくつか思い浮かびますが、私にとって正に日本刀がそれであった。

 歳の頃3才か4才の事だったと思うが、オモチャやテレビアニメのヒーローではなかった。 そして日本刀に対する思いは、歳と共に大きくなり膨らんでいった。 小学生の頃、授業中日本刀のラクガキをしたり、工作の時間に木を削って刀を作って先生に叱られたものでした。

 社会人になって五年が過ぎた頃か、昼休みに立ち寄った百貨店で日本刀の展示即売会を目にしてしまった。 吸い寄せられるように一振りの日本刀に目が集中した。気が付いたら購入の手続きをしていた。 最初に手に入れた日本刀だった。感激のあまり、ほとんど毎日鞘を払っては眺めていた。

 26歳の時、半年後に結婚が控えていたにもかかわらず、預金を全部はたいて二振り目を買ってしまった。 大変なことをしてしまったものである。厳格な父に知れたならただでは済まない。 やむなく母を夜中に呼び起こし、打ち明けた時の母の嘆き泣き沈んだ姿は今も忘れられない。

 その後、多くの方々のご支援もあり、平成5年より日刀保名古屋支部へ入会させていただき、加えて日本刀を謳う詩吟のテレビ番組に出演もした。 以来、手に入れた日本刀も二十振りを数えただろうか、既に齢五十歳。ずい分と自分勝手な人生を歩んできたものである。 これからも今までにお知り合い下さった方々のご助力の下、日本刀の収集を続けていくつもりであります。

至福の時(ご自慢の愛刀を剣鑑賞中の柴田会員)
至福の時(ご自慢の愛刀を剣鑑賞中の柴田会員)

 ここで私の所有している刀の一部を紹介します。 一番印象深い一振りは結婚費用にと蓄えていた資金をはたいて買った、大和伝手掻(てがい)包俊の刀です。 二振り目に手に入れた刀は大摺上げ無名ではありますが、反り高く柾目肌に細直刃、今でも大変気に入っています。

 又、一昨年備前長船盛秀(在銘)の太刀を太刀拵付にて手に入れました。 拵付の太刀を手に入れることは長年の念願でもありましたので大いに満足しています。 これらの他に、大刀六振り、脇差四振り、槍五本を数えるに至りました。 今後も日本刀とどの様な出会いがあるか、更に日本刀を通じて多くの人と知り合い、見聞を広げていくか楽しみにしています。 このような場を提供していただける『財)日本美術刀剣保存協会 名古屋支部』はすばらしい会であります。 日本刀に少しでも興味をお持ちの方、是非ご入会いただき、一緒に日本刀の鑑賞を楽しみましょう。

 それから二十数年間、この身勝手な夫を支えてくれた妻と二人の子供に対し感謝の意を捧げたく、年新たに平成十八年、年頭の誓いといたします。

名古屋支部 柴田 信保