令和四年九月研修旅行記(研修旅行2022) 第四十回北陸地区大会

当支部恒例の刀剣研修旅行で、今年は九月十八日に富山城趾公園の南隣にある富山国際会議場にて開催された 「日本美術刀剣保存協会 第四十回北陸地区大会」に、当支部会員二十三名にて参加し、 他の多くの支部会員の方々と共に、数多くの名刀及び刀装・刀装具を鑑賞させて頂きました。

鑑賞会場には、重要美術刀剣七振、特別重要刀剣七振、重要刀剣二十一振刀剣五振の四十振と刀装・刀装具十三点が整然と並べられ、 当支部会員は長い行列の合間に、多数の名刀を直接手に取り鑑賞できる高揚を感じていたと思います。 また、別会場では協会講師の先生による一本入札鑑定も行われて入札者の長い行列も見られました。

展示の数々の名刀のなかで、御当地越中富山が生んだ名工として知られる「則重」は六振、 「郷義弘」は二振、鎌倉末期に大和から越中へ移り住んだ刀工「宇多派」は八振出品されている。 なかでも「則重」は新藤五国光の弟子で、短刀の名手ともいわれている。 個性的な独特な筍反りの姿や、硬軟の地鉄を組合せ、地沸が厚くつき太い地景が目立って入り、 大板目に杢を交えて肌立ち、渦巻状の肌を交える独特の黒みがかる鍛え肌(松皮肌)は特に有名であり、 刃中は地肌が絡み、匂深で沸が厚く、砂流しや金筋が目立つ作柄は、北陸地方の古代からの特色のある作刀技術の伝承を考えさせられました。

その他、富山県支部のご厚意により「秋水美術館・特別入館券」の配布がありましたので、 支部会員一同で、大会会場から徒歩にて五分ほどの秋水美術館を見学しました。 展示名称は『五箇伝―名刀の源流―』で刀剣は、備前伝十振、大和伝四振、山城伝七振、相州伝一振、美濃伝五振刀装・刀装具展示は九点ありました。 整然と展示された刀剣の中で、備前伝では重要美術品の古備前利恒、大和伝では重要美術品の大和則長、 山城伝では重要美術品の来国末、相州伝では重要文化財の正宗、その他多くの名刀を鑑賞することが出来ました。

なお、参加者のために大会の準備にご尽力された富山県支部の皆様に心より感謝いたします。

日刀保 名古屋支部 牧野 克昭