令和元年十月研修旅行記 (2019) 刀有会・日刀保長野県三支部共催・第十一回名刀鑑賞大会

 当支部恒例の刀剣研修旅行で、 今年は十月十九日に長野県のホテルメルパルク長野にて開催された「刀有会・日刀保長野県三支部共催・第十一回名刀鑑賞大会」に、 当支部会員二十七名にて参加し、他の多くの支部会員の方々と共に、数々の名刀及び拵・小道具を鑑賞させて頂きました。

 この度、一週間前の十月十二日に大型台風十九号により長野県民の皆様はじめ、 多くの被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。 また、災害復旧の最中にもかかわらず参加者のために大会の準備に、 ご尽力された関係者の皆様に心より感謝いたします。

 鑑賞会場には、重要美術刀剣九振、特別重要刀剣六振、重要刀剣二十七振、長野県宝刀剣五振、刀剣一振の四十八振と拵・小道具九点が整然と並べられ、 当支部会員は長い行列の合間に、多数の名刀を直接手にとって鑑賞できる高揚を感じていたと思われます。

 数々の名刀のなかで「上杉景勝公御手撰三十五腰之一の長谷部国信(号唐柏)」は、刀身全体に皆焼の刃文が見事な太刀でした。 名古屋の熱田神宮にも長谷部国信自身が山城へと帰る途中に参籠して、 鍛え奉納されたと伝わる脇指の「熱田国信(重要文化財)」があり、親しみを感じました。

 また、長野県に縁のある信州小諸藩赤岩村の郷士出身で、江戸時代末期の名工として名高い清麿兄弟の「山浦一門」の名刀が十四振出品されており、 初期から晩年までの刀や、弟子たちの刀などを含む多くの長野県宝指定の名刀を堪能することが出来ました。

 大会の記念品として「令和元年・真田宝物館特別展図録」を頂きました。 図録に記載されているように、松代藩真田家には、多くの刀剣が伝来されており、江戸時代末期のお抱え刀鍛冶として、 大慶直胤や山浦真雄はその名前が広く知られており、今回の鑑賞刀の中でも見ることが出来ました。

  このように数多くの鎌倉時代から江戸時代の名刀を三時間ほど鑑賞し、心残りの会場を後にして名古屋への帰途につきました。

日刀保 名古屋支部 牧野 克昭