研修旅行 (2006) 伊豆の国

 今年も名古屋支部恒例の刀剣研修旅行を7月8日(土)から一泊二日で実施しました。 今年は「伊豆の国 研修旅行」と銘打って、静岡県三島市にある佐野美術館と静岡市にある久能山東照宮を目指しました。 時間の余裕ができた2日目には、当初予定していなかった三島市の三嶋大社にもお参りをすることができました。

 恒例の研修旅行は毎年梅雨時に開催されているにもかかわらず「雨が降ったことがない」というジンクスどおり、今年も梅雨時の快晴の中を24名を乗せたマイクロバスが名古屋駅前を出発しました。 途中の遠州豊田PAにて自家用車相乗参加の4名と合流し、総勢28名のグループとなりました。

 1日目の予定は、佐野美術館隆泉苑での特別鑑賞会と美術館創立40周年記念特別展「虎徹と清麿展」の鑑賞です。 バスは予定通りお昼に佐野美術館のレストランに到着し、庭園を見ながらの昼食を頂きました。 その後は隆泉苑にて特別鑑賞会です。 この隆泉苑は佐野美術館創立者である佐野隆一が昭和初期にご両親の隠居用として築造されたもので、隆一他界後遺族より佐野美術館に寄贈されたとのことです。 平成9年には国の登録有形文化財に指定されています。

隆泉苑(佐野美術館)
隆泉苑(佐野美術館)

 特別鑑賞会では佐野美術館所蔵の名刀5振を鑑賞させて頂きました。 鑑賞刀はすべて重要文化財で、(短刀)銘「国光」、(刀)無銘「正宗」、(刀)朱銘「義弘(名物松井江)」、(脇差)銘「相模国住人広光」、(刀)金象嵌銘「備前国兼光(名物大兼光)」。 皆どれもすばらしい作品で、1時間半ほどの鑑賞会があっという間に終わってしまいました。

 鑑賞会終了後、渡辺美術館館長より各作品についての解説があり、興味深いお話を沢山聞かせていただきました。 「名刀は鑑賞する人の眼で磨かれる。」「初心者はできるだけ名刀を見てください。」というお言葉がとても印象的でした。

  特別鑑賞会後は美術館に入館し「虎徹と清麿展」を鑑賞しました。虎徹と清麿が夫々30振程展示され、その数に圧倒されました。 これだけの数で各々の作品を比較することができる機会はもうないことでしょう。 非常に勉強になりました。

佐野美術館前
佐野美術館前

 この日は天気が良く気温もだいぶ上がったせいか、鑑賞後は皆さんかなりお疲れのようでした。 午後4時半、本日の宿である伊豆長岡温泉「いずみ荘」に到着しました。 この宿は明治40年にお湯が発掘された長岡温泉元湯「一号の湯」であるとともに、作家武者小路実篤が一年の半分を過ごしたというお宿でもあります。 皆さん総檜露天風呂で旅の疲れを癒した後は懇親会が始まり、会員間の親睦を深めました。 懇親会終了後は特設会場に移動し、「夜の刀剣鑑賞会」にて会員持参の刀剣や小道具等を鑑賞したり、以前NHKで放送された「日本刀なるほど物語」のビデオを見たりと刀剣談議に花が咲きました。 会員が持参されたお刀にまつわるエピソードや刀剣収集でのご苦労をユーモアを交えてお話していただき、参加者一同は時の過ぎるの忘れて聞き入っておられました。

いずみ荘 (懇親会)
いずみ荘 (懇親会)

 2日目は9時宿出発。午前中に時間の余裕が見込まれたため、当初予定していなかった三嶋大社にお参りしました。 この三嶋大社は古くより三島の地に御鎮座し、中世以降は武士の崇敬きわめて篤く、殊に源頼朝は深く崇敬したとのことです。 宝物に明治天皇御奉納の太刀「宗忠」(重文)があるそうですが時間の都合で宝物館鑑賞は別の機会としました。 三嶋大社を後にして次は日本平の川崎屋を目指しました。 ここで昼食です。 途中沼津IC手前のお土産屋で名物の干物などを皆さん買い求め、東名高速を西へ移動しました。

三島大社
三島大社

 この日は徐々に空が曇り始め、名古屋に帰るまでは何とか持って欲しいと思いましたが、移動中パラパラと雨が降り始めました。 川崎屋へ着いた頃には残念ながら雨模様となり、レストランからの駿河湾や伊豆半島一望ができなかったのが残念でした。 川崎屋での昼食は「桜えびづくし」で、桜えびのかき揚げ、生桜えび、桜えびご飯と、今が旬のおいしい名物を頂くことができました。

 昼食後はいよいよ久能山東照宮です。日本平駅から久能山駅まではロープーウェイに乗りました。 ここでも視界が悪かったのが残念でした。 この久能山東照宮は、武田信玄によって久能山上に築かれた久能城が武田氏滅亡後に徳川氏の領有となり、されに徳川家康が薨去したその夜にここに葬られ、その後東照神君として崇められたのが由来となっています。 全国東照宮の根本大社として崇敬を受けているとのことです。

久能山東照宮
久能山東照宮

 東照宮参拝後は東照宮博物館に入り、武器、武具、書画などを鑑賞しました。 ここの宝物は家康の遺品類や江戸城内に保管されていた歴代将軍の武具類、将軍や大名が寄進した刀剣類や書画類などで、調度品等も合わせると総勢2000件が収蔵されているそうです。 当日展示されていた刀剣は、「法城寺国正」、(重文)「国行」、「国宗」、(重文)「末守」、(重文)「守家」、(重文)「国宗」、「河内守正広」、「藤原国正」、「藤原是一」でした。

 無事東照宮参拝も終了し、再びロープーウェイで日本平駅まで戻り、一路名古屋への帰途につきました。 名古屋駅には予定より早めの4時半頃に到着し、これにて無事「伊豆の国 研修旅行が」終了しました。

名古屋支部 野村 泰久